OT の課題に立ち向かう Google Cloud の製造向けソリューション Manufacturing Data Engine について
はじめに
製造ビジネステクノロジー部の田中孝明です。
【6/28(金)】DevelopersIO 2024 FUKUOKA Day1 と 7/10(水) Classmethod Odyssey ONLINE ソフトウェア開発編 と Jagu'e'r 九州分科会 第10回 MeetUp の3つのイベントで Google Cloud の製造向けソリューションである Manufacturing Data Engine について話しましたのでその解説ブログになります。
Google Cloud の製造向けソリューション
Manufacturing Data Engine と Manufacturing Connect は Google Cloud が 2022年頃に発表した製造ソリューションです。
これら 2 つのサービスは、製造分野での使用に特化しており、ソリューションを通じてデータを取得して分析可能にすることを目標とされています。
実際の取り組みについては Google Cloud Day '23 Tour in Osaka で登壇された京セラ様の取り組みが参考になります。
Manufacturing Data Engine とは
Manufacturing Data Engine は、必要な正規化を行なった工場データの保存場所と見なすことができます。
エッジとクラウド間の低コストの接続を使用して、あらゆる種類の機械タイプから多種多様なデータを取得でき、収集されたデータは正規化および強化され、分析に最適化された共通データモデルが提供されます。
後述しますが、Manufacturing Data Engine は、Cloud Dataflow や BigQuery などの複数の Google Cloud のサービスを連携させて実現しています。
Manufacturing Connect とは
Manufacturing Connect は Litmus Automation と共同開発した工場向けエッジプラットフォームで、250 以上のマシンプロトコルに対応した豊富なライブラリを介して、ほぼすべての製造アセットと迅速につながります。
以下のようなデバイスが含まれます。
- 自動化された製造ラインで使用されるロボットアームなどの産業用ロボット
- 温度、圧力、湿度などを監視するセンサーデバイス
- PLC
- HMI
- SCADA
これらのデバイスは、Manufacturing Connect を通じて Google Cloud に構築された Manufacturing Data Engine にデータを送信し、リアルタイムの分析や機械学習モデルの適用を可能とし、製造プロセスの最適化や効率化を図ることを手助けします。
Manufacturing Data Engine について
Manufacturing Data Engine のアーキテクチャ
Manufacturing Data Engine は特定のサービスとして存在するのではなく、複数の Google Cloud のサービスを組み合わせて実現されています。指定した環境へ Terraform で展開できるようになっています。
Manufacturing Data Engine のデータの流れ
Pub/Sub から流れてきたメッセージがどのような流れで処理されるか表したものです。
Manufacturing Data Engine には、3 つの Archetypes にグループ化されたセットが付属しています。
Manufacturing Connect から付与された Metadata などから Manufacturing Data Engine 内のコンポーネントで指定された正規化が行われるようになってます。
数値 Archetypes
一連のタイムスタンプ付き数値メッセージ (たとえば、読み取り値のストリームを発行する温度センサー) をモデル化するタイプのベースとして機能するように設計されています。
離散 Archetypes
特定のマシンまたはプロセスにおけるオペレーターによるパラメーターの変更など、タイムスタンプ付きイベントをモデル化するタイプのベースとして機能するように設計されています。
連続 Archetypes
開始タイムスタンプと終了タイムスタンプによって定義される一連の連続状態 (たとえば、連続した期間のマシンの動作状態) をモデル化するタイプのベースとして機能するように設計されています。
Manufacturing Data Engine に溜めたデータを活用する
BigQuery / Bigtable などの保持されたデータは分析・機械学習など様々な用途で活用できます。Google Cloud のサービスはもちろん、他のソリューションと連携できるようになっています。
- Looker で予測分析、可視化
- Vertex AI / AutoML での AI 基盤構築
- Apigee で API 公開をサポート
- Tableau でレポート作成
- Grafana で可視化